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Home>>語学学習>>Chinese 汉语(中国語)>>添削編>>第二回:東北地方太平洋沖地震における状況を中国人に宛てて出したメール(2)
 <中国語コラム(添削編)>の部屋へようこそ
ここでは、私が中文を作成しその文章の添削をを貰った際に、非常に勉強になった事に関して紹介します。
実質、この文書を公開する事により、私の未熟さが露わになりますが、この体験は多くの日本人が犯すかも知れない誤りについて、一石を投じるかも知れません。

<第二回:東北地方太平洋沖地震における状況を中国人に宛てて出したメール(2)>
 東北地方太平洋沖地震(2011/03/11)の発生は、国内だけでなく全世界を巻き込んで衝撃を走らせました。そしてこのコラムの筆者である私が、今この文章を書く瞬間も未だにその災害が続いているところです。(2011/04/06時点)

 第一回の冒頭で説明していますが、リアルタイムで発生しているこの問題について、私が中国語を教えていただいている中国に住んでいる中国人からの1通のメールから始まりました。

 連絡が取れにくなった生徒を心配して、日本の状況が分からないので教えて欲しいというものです。

 実は、第一回で紹介したメールに対してメール返信がありまして、その時に第一回の訂正文を添付で頂いたわけですが、その時に、かなり内容の濃い文章を貰いました。中国に伝わってきている情報がどういう物かと言う事でした。

 その内容を公開するつもりはないですが、文章の中で宮城県に研修できていた中国人女性達の事が、書かれていました。これは日本でも報道されましたね。

 第二回では、このメールに対して更に2通目を返信したメールが、数日後添削されて戻ってきました。
 2通目のメールは、第一回の添削内容を理解できる範囲で考慮し書いた物ですが、こちらも多くの訂正が入りました。

 但し、今回は沢山の訂正をしつつも次のコメントを入れています。
 ①文章が良くなってきている。
 ②訂正した箇所は些細な部分です。
 と言った様な内容です。

 今回も、その添削内容を公開したいと思います。
 以下は、東北地方太平洋沖地震における状況を中国人に宛てて出した2回目のメールを添削して貰ったものです。
 1通目と同様分かりやすい様に、訂正前後を並べてみました。


2011/03/19信
原文:   修改后:

 ○○:你好!
我写这个邮件的时候,觉得你在火车中。
因为我回信回得晚,不好意思。
这个地震以后,我从网上的很多朋友收受邮件或短信。
还有也QQ,Facebook,Mixi在日本 和 MSN上一样的。

现在也非常多人避难生活。
还有,核发电站的问题继续。
核发电站问题已经不是一个国家的问题。这是变成世界都的。
阿,关于宫城县女川町里四十名多的中国人研究生,中国领事馆两天前收容她们了。
然后回中国的计划。
关于这次中国救援队到了日本的理由,我觉得含这些中国人的担心。
谢谢你我作文的改变。
下次课的时候,我希望关于这改变对不对的内容学习,
这文也是。
写现实的事是关学习外语言作为理会。
“错不错”和”对不对”是什么不一样?
等等
再下次见!

□□

 ○○:你好!
我写这个邮件的时候,觉得你正在火车上。
因为我回信回得晚,不好意思。
这次地震以后,我在网上收到了很多朋友的邮件或短信。
也有朋友用QQ、Facebook、Mix、Msn跟我聊天,告诉我他们的情况。
现在也有非常多的人过着避难(的)生活。
还有,核发电站的问题还在继续。
核发电站的问题已经不是一个国家的问题,而是整个世界的问题。
哦,关于宫城县女川町里的四十多名中国人研究生,中国领事馆两天前将她们收容了。
他们计划回中国。
关于这次中国救援队到日本的理由,我觉得这包含了这些中国人的担心。
谢谢你帮我修改作文。
下次课的时候,我希望学习那些修改的内容。
现在的这篇文章也是。
用现实中的事情写作文有助于学习外语。
“错不错”和”对不对”有什么不一样?
等等
下下次见!

□□

※宛先人:○○と差出人:□□は伏せさせていただきました。

それでは、前回同様1、2文に分けて詳細を見ていきましょう。

原文:   修改后:
 ○○:你好!
我写这个邮件的时候,觉得你
火车
因为我回信回得晚,不好意思。
 ○○:你好!
我写这个邮件的时候,觉得你
正在火车
因为我回信回得晚,不好意思。

今回の冒頭部分は、訂正が少なかったです。
1) 在 ⇒ 正在
 これは、仕方がないですね。現在進行形を表すのに正を書き忘れていました。と言うか、現在進行形にする必要があること自体の認識がなかったです。
 「私がメールを書いている頃には、電車に乗っていると思う」
 時制は曖昧ですが、進行形にはなっているようです。

2) 火车中 ⇒ 火车上
 これも、前回のメールで同じ様な訂正が有りました。
 ここの所の中国人のイメージについて聞いてみました。直接会話で教えて貰いましたので、その事を説明します。
 私が、中を使ったのは、「電車の中」というのが日本的な言い方になってしまう為です。ここでも日本語が出てしまいました。電車という箱の中のイメージを持つのが日本人です。
 中国人は、ちょっと違います。電車は、線路があって車輪があって、車輪を支える台車があって、そしてその台車の上に覆う様にボディがある。そして人間はその台車の上に立っている又は乗っているというイメージです。中国人にとっては移動の手段はボディに入る事ではなく、台車の上に立つか座ると言う事なのです。
 つまり日本人はボディのイメージが強く中国人は台車のイメージが強いという事です。
 因みにこの時、電車は座る事が前提ですので、座火车と書いても良いと補足を貰いました。


原文:   修改后:
这个地震以后,我网上很多朋友收受邮件或短信。
还有也QQ,Facebook,Mixi在日本 和 MSN上一样的
 这次地震以后,我网上收到了很多朋友邮件或短信。
也有朋友用QQ、Facebook、Mix、Msn跟我聊天,告诉我他们的情况

1) 从~的~收受~ ⇒ 在~收到了~的~
 インターネット上の友達から沢山のメールを貰った。を表現したかったのですが、不自然なようです。これもイメージの違いと言えるかも知れません。インターネットからと言うより、インターネットにおいて、のイメージです。
 网上的很多朋友の表現については、色々と議論がありました。
 実は一口に友達と言っても、リアルな友達と実際には会った事は無くインターネットを通じての友達では、種類が違うので呼び方も違うそうです。
a)リアルで会っている友達⇒朋友
b)インターネットの中だけの友達⇒网友
c)インターネットも使うがリアルでも会った事のある友達⇒朋友
と言う事だそうです。
今回は、a),b),c)が混ざっていました。従って、朋友の表現に落ち着きました。インターネット上の友達だけでしたら网友が選択されていました。
但し、メールが届いたと言う部分は状語在网上に続ける表現が必要で直ぐに收到了が来ます。その後ろに目的語をとるので、朋友は定語として使う必要があり、朋友的邮件~の表現になりました。

2) 在日本 ⇒ (削除)
 mixiは日本のシステムなので、ちょっと説明必要かなと思いましたが、SNSサイトが連なっているので、言うまでもないと言う事で削除です。訂正後はミススペルになっていますが、不問です。

3) 还有也~一样的 ⇒ 也有朋友用~跟我聊天,告诉我他们的情况
 非常に大きく変えられてしまいました。
 前文のメールの他に色々なSNSでも同様にメッセージを貰った。
 の表現ですが、あまりに抽象的すぎたようです。
 前後関係で分かりそうな気もしますが、中国人的には正確に伝える必要が有るようです。
 SNSを使って私とチャットする友達もいて彼らの状況を伝える。
 ここ、勘違いしているかも知れません。告诉我、私に伝えるになっていますが、被災地の友達と思っているのかも知れません。私が被災地の状況をSNSを使って伝えるのなら、以下の文書かもです。
 我告诉他们灾害的情况

因みに余談ですが、SNSサイトについて補足しておきます。
QQ:中国最大のコミュニティ。日本のmixiみたいな物ですが、MSNに近い機能も持っている。
  チャットの機能はかなり高機能で、字体も自由に変えられる。メッセンジャーやSkypeの様に、通話も可能。(中国人以外は殆どいませんが半端じゃなく多いです。中国語を実践したい方はどうぞ)
Facebook:言わずと知れた、あのリビア、エジプト革命の発端とも言われ、題名ソーシャルネットワークで映画化された世界最大のコミュニティ。(ワールドワイドでチャットしたいならここ)
mixi:日本最大のコミュニティ。
MSN:マイクロソフトが運営するWindowsに勝手に着いてくるコミュニティ。
SNSについては、機会が有れば別ページで紹介します。


原文:   修改后:
现在也非常多人避难生活
还有,核发电站的问题继续。
现在也有非常多的人过着避难(的)生活
还有,核发电站的问题还在继续。

1) 非常多人避难生活 ⇒ 非常多的人过着避难(的)生活
 これも少し論議がありました。(的)となっている部分です。日本語で言う避難生活です。中国語にはこの様な「避難して生活する事」を1つの単語にした様な物はないそうです。通常避难は動詞としての意味が強い様で、名詞として使う時は間に的を挿入するのだと説明を受けました。但し、的を省略しても意味は通じるので括弧付きになりました。中国人的には有った方が良さそうです。
 元々、この文は文章になっておらず日本語では避難生活していると言うべきなので、避難の生活を過ごしていると言う意味で、过着避难的生活となりました。
 多人が多的人になっているのは文法的ミスです。


原文:   修改后:
核发电站问题已经不是一个国家的问题。这是变成世界都的
,关于宫城县女川町里四十名多的中国人研究生,中国领事馆两天前收容她们了。
核发电站的问题已经不是一个国家的问题,而是整个世界的问题
,关于宫城县女川町里的四十多名中国人研究生,中国领事馆两天前将她们收容了。

1) 核发电站问题 ⇒ 核发电站的问题
 解説する程ではないでしょう。日本語ではひとまとめに1単語化出来ますが、中国語では主語の一番主の部分のはっきりさせた方が良いようです。ここでは问题が主語でその前の核发电站的は定語です。

2) 这是变成世界都的 ⇒ 而是整个世界的问题
 状況が日本国内の問題ではなく世界的問題に変わったと言いたかったので、变成を使ったのですが、これはおかしいそうです。
 整个は全体という意味なので整个世界で全世界という意味です。何故か全世界とは書きませんね。これは日本人的発想かも知れません。世界全体は整个世界の方が自然なのでしょう。
 而是~的问题の部分ですが、而は接続詞で前の文の逆説的に述べるのに使う。
よく見ると、私が書いた前文は"。"で終えてますが、訂正後は","に変わっています。従って、前文の不是一个国家的问题に対して更に逆接的に後方の文が繋がると「もはや」というニュアンスが生まれます。
 原発問題は既に一国の問題ではなく世界全体の問題だ。

3) 阿 ⇒ 哦
 たいした問題ではないのですが、感嘆詞の使い方で、またまた日本人の擬声音を書いてしまいました。「あっ!」ですが中国人はいつも「おっ!」とか「おー!」とか言います。
 これは国民性の問題です。

4) 女川町里四十名 ⇒ 女川町里的四十多名
 既に解説していますが、四十多名を修飾する必要がありますので女川町里的で定語になります。

5) 两天前收容她们 ⇒ 两天前将她们收容
 これは少し難しいです。收容自体は離合動詞でもなく1つの塊で~を収容すると言う意味を持っています。将は把の書き言葉という事ですから、基本的に訂正前後の文の意味は同じです。
但しそもそも把構文とは目的語を強調する為に有るので、彼女たちが収容されたと強調表現になっていると考えれば理解できるでしょう。


原文:   修改后:
然后回中国的计划
关于这次中国救援队到了日本的理由,
我觉得含这些中国人的担心。
他们计划回中国。
关于这次中国救援队到日本的理由,
我觉得这包含了这些中国人的担心。

1) 然后~的计划 ⇒ 他们计划~
  然后が削除されていますが、中国語は文章を並べれば、その順番に事象が起こった事になりますから、不要という事でしょう。
 しかし、単独の文としては主語が抜けているので他们が逆に追加されました。主語が入るので以降動詞+目的語と通常の流れの表現に変わっています。

2) 我觉得含这些~ ⇒ 我觉得这包含了这些
 中国の救援隊がいち早く来日した背景について語った文章ですが、日本に住む中国人は多くその事を心配している事も含んでいるの表現です。
 含だけで良いと思っていましたがそうではないようです。
 含はどちらかというと含有すると言う含みのニュアンスのようです。
 包括して含む的なニュアンスの場合は、包含が正解です。
 この文章は、来日した時点での心情について述べていますので、完了を表す了が着いています。包含が動詞なので主語として这が追加されており、この这は前の文章の理由を指しています。


原文:   修改后:
谢谢你我作文的改变
下次课的时候,
我希望关于这改变对不对的内容学习
这文也是
谢谢你帮我修改作文
下次课的时候,
我希望学习那些修改的内容
现在的这篇文章也是

1) 我作文的改变 ⇒ 帮我修改作文
 不問でも良いかも知れませんが、改变は変化すると言う意味なので、基本的に使い方の誤りです。修改は訂正する意味なので妥当です。しかし、この文にも中国人の拘りを見る事が出来ます。帮我が追加されている部分です。最初が谢谢你で始まっているので、感謝する理由の文が後続すべきです。何に感謝しているかというと、補助してくれた事です。その補助とは訂正の事です。と言う流れのまま書くと、訂正後の文章になります。

2) 我希望关于这改变对不对的内容学习 ⇒ 我希望学习那些修改的内容
 よく見ると最初の文は文になっていないです。希望关于~なんて表現は出来ないですね。
 中国人的にはここはやはり希望している事を率直に書くべきでした。訂正後はすっきりして分かりやすいです。
 この文章の背景は、訂正して貰っているのは私が中国語を習っている先生で、次に会った時に訂正箇所の詳細説明が欲しかった為です。

3) 这文也是 ⇒ 现在的这篇文章也是
 またまた、文章をはしおってしまった箇所を補填されました。
 単純に、今回のメールの文章のおかしい所を教えて下さいと言う含みです。


原文:   修改后:

写现实的事是关学习外语言作为理会
“错不错”和”对不对”是什么不一样?
等等
再下次见

□□

用现实中的事情写作文有助于学习外语
“错不错”和”对不对”有什么不一样?
等等
下下次见

□□


1) 写现实的事是 ⇒ 用现实中的事情写作文有
 私は直ぐに是を使う事に頼っている気がします。英語で言うbe動詞に近い言葉で、日本語にすると動詞ではなく格助詞のはにあたるので、これは日本人が犯す過ちかも知れません。訂正された様に書く方がすっきりします。事実の事を書くことは、と言うより実際に起こった事柄を用いて書くのはと言うイメージです。

2) 关学习外语言作为理会 ⇒ 助于学习外语
 何とも複雑怪奇な文章を作ったのでしょう。これも見ての通りです。
 語学学習の為になるという表現です。

3) 再下次见! ⇒ 下下次见!
 これも些細な内容です。次回会いましょうと言う表現ですが、この様に訂正されたのは状況的理由がありまして、私はクラスを毎週受けていますがメールを書いた週は先生の都合で休みになりました。なので2週間後に会う事になるので、下下次となったわけです。


以上が2通目のメールの添削結果でした。
 今回は辞典を使った引用詳細説明は省きましたが、もし興味のある方は訂正によって使用する漢字が変わった箇所を、中中字典等を引いてみるとより理解できると思います。

総論として、1通目と同様で日本人が日本のイメージで文章を書くとおかしな文章になると言う事につきると思います。
 大きくは、やはり日本人の持つイメージと中国人が持つイメージがずれている箇所が多いと言う事と、中国語はやはり語順に厳格で正しい位置に正しい単語が入ってこないと文章にならない点、主語が省略できる場合と出来ない場合、名詞についてもただ並べて表現は難しく定語+名詞の形式をとる方が後に続く文の意味がはっきりしてくる。等がポイントではないでしょうか。

 1通目と2通目を通して思うところは、私の語意不足で、出来るだけ簡単な文章にする為、沢山省略して書いてしまった感があり、ことごとくその部分を突いてきた気がします。

 最終的に中国人の自然体で文章を書くと、日本語の文章より長くなってしまったところも多く、意外な面がみれました。中国語はひらがながない分、文章が短くなるというのは、風評かも知れません。


(2011/04/06記)