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<中国語コラム(文法編)>の部屋へようこそ

<第一回:中国語と日本語の違い>

この節では、日本人が中国語を学ぶ上で、避けて通れない問題について説明します。

(筆者の余談)
私が、中国語の学習を始めた頃に文法において混乱したのは、中国語が日本語と文法が大きく違っていること、同じ様な漢字を使っていても意味が異なる場合があること、中国語は英語の文法に似ていますが、必ずしも英語と同じというわけではなく日本語よりの表現も有ること等、様々でした。
 とりわけ最も驚いたのは、中中字典(新華字典)を手にした時、単語の持つ品詞が殆ど書かれていないため、どの品詞で使って良いのかが、又は訳す場合にどの品詞で訳せばいいのかが分からなかった、と言うことである。
しかし、元々の言語の成り立ちの背景から考えて、その文章構造を理解していくうちにその混乱は徐々に解決の方向に向かってきた。
節で説明する事柄は、そういった事を頭に入れながら説明したいと思う。

「中国語の文法は語順が命」

この言葉は、販売されている書物、ネットで公開されているサイトでも頻繁に出て来ます。
しかし、何故そうなるのかについて、まともに解説したものは少ない様に思います。

私が学習してきた中、集めた情報の中で、感じ取った意味合いで説明しますが、要するに以下の理由と結論づけられます。

中国語の文字の持つ品詞、語成文、要素は、中国語の基本文型に従ってその文字を置く位置によって決まる。
と言うことです。

 言い換えれば同じ文字を使っていても文章内の置く位置によって文字が演じる役割が大きく変わってしまう事があり、品詞や要素と言った物が変化すると言うことです。
これが、中中字典で品詞が載っていない理由であり、中国語の文法的特徴だと思います。
では、「中中字典で載っているものは何か?」と言う疑問が出てくるかも知れません。
これも、中国語の漢字を学んでいくうちに徐々に理解が深まってきますが、中国漢字は日本に比べて遙かに長い年月をかけて生まれ育って来ている背景があります。今は簡体字を使っていますが昔は繁体字を使っていましたから、繁体字の成り立ちから現在にたどり着くまでに色々な変化を伴っています。
 中中字典は、日本の国語辞典、漢字辞典等よりはどちらかというと漢和辞典に近い感じだと思います。しかしそれでいて日本の国語辞典の様な使い道をネィテブはしているわけです。中国語を学習していく過程で私は中国語で使う漢字について思うことは、「中国語の漢字1文字に込められる意味は、根深いものがある。」ということです。日本語も中国語も同じ漢字を使う文化ですが、日本語では単語を構成する場合にひらがなを多用します。しかし中国語にひらがなに換わる様なものはないので、結局単語の意味は1つ1つの漢字の中に凝縮されることになる。
例えば、

(日本語)私は、彼女達に給料をあげる。
(中国語)我给她们工资。

を比較してみると句読点も入れて、日本語が14文字、中国語が6文字で同じ意味を表現します。
実に倍以上の文字数を日本語は必要とするのです。これが意味の凝縮です。
一方、日本語は無駄に文字数を消費しているかというと、実はそういうわけではなく、日本語の独特さがこの中に含まれています。

さっきの文を例にすると
  1. 私は、彼女達に給料をあげる。
  2. 私は、彼女達に給料を与える。
  3. 私は、彼女達へ給料を渡す。
  4. 私は、彼女達に給料を手渡す。
  5. 私は、彼女達に給料を支払う。
を中国語で表現するとどうでしょう。
一応念のために、日本語が喋れる中国人に日本語の意味合いを説明して翻訳して貰いました。

  1.~4. 我给她们工资。
  5.    我向她们支付工资。 (辞書では「我向她们发工资。」と言うのもある)

といった感じになるらしいです。
中国語でも微妙に意味の違う漢字は有りますが、日本語で表す表現は、非常に微妙なニュアンスの違いを表現することが出来るのです。特に、日本語の文学書あたりの書物を読むと、その文学的表現は、その光景の隅々までをも表現できる程の表現力があり、表現の豊かさを持っている言語とも言えます。
また、その代わりというか中国語の場合は、漢字に込められる意味の強さから、四字熟語という物が生まれています。すごく意味深いニュアンスをも含むイデオムをたった4文字の漢字の中に凝縮しているのです。この四字熟語は中国の歴史的背景から生まれた独特な表現方法と言っても良いでしょう。

日本語は、漢字とひらがなを組み合わせて豊かな表現をする言語。
中国語は、漢字の凝縮した意味合いと、その配置によって創り出される密度の濃い言語。
と考えられるのではないか。

(2010/04/06記)
(2010/04/11追)
給料をあげる例文の中国語訳を追加(2010/05/19追)
中中辞典⇒中中字典に変更(2010/12/04改)