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第十回:語学学習と脳の働き

第五回の中で、言語の立場から脳の働きについて説明しました。この時の「脳の働き」とは物理的にどう働いているかについての話でした。今回は、別の視点で脳の働きについて考えてみたいと思います。

脳の働きを考える上で、その「働き」とは大きく2つの側面の研究がなされているという事です。
1つ目は、生理学的、生体的な側面から見た物理的な働き。
2つ目は、脳の情報空間で行われる処理の流れから来る虚空間的な働き。

一般的に「脳科学」と言うと1つ目の場合が、良く話題となり、脳のどの部分でどういう働きをしているかを、脳波計やMRIと言った物理的計測器を使って、研究される物が話題の中心となります。
2つ目の場合は、「脳機能科学」という分野で扱われている様です。

日本人で代表的な脳機能科学者としては、例えば「苫米地英人」博士がいます。
同博士によると、上記2つ目の情報空間(虚空間)について、「ちょうど、映画のMATRIXのような感じだ」と述べられています。また、脳の情報空間に情報を埋めるというのは「映画のトータルリコール」が似ているとも述べられています。

苫米地英人博士の書かれた著書や語学学習教材を用いて現在も教科の確認を行っていますが、一定の成果があったと感じた為、今回この回にて内容を紹介したいと思います。

まず、沢山の著書がある為、その全てを紹介する事が出来ませんので、語学に関係する部分をピックアップして行きたいと思います。

どのような著書,商品が有るかは、この「苫米地英人博士関連商品」を開いて下さい。
以下の内容については特に「英語は逆から学べ!」からの引用となります。              

1.ゲシュタルトとは
 同博士の書物で頻繁に出てくる心理学用語です。
右の絵はを見て下さい。これは、好く知られる有名なだまし絵です。
作者のW.E.Hillはこの手のだまし絵を数多く手がけていますが、最初見た時に、2つの異なる人物が描かれている事に、気づいていますでしょうか?

ある人は、若い女性に見えるかも知れません。また別のある人が見ると老婆が描かれていると見えているかも知れません。

しかし、別の人物が隠れて描かれている事を知らせれると、それを気にしてよく観察すると、ある時突然それが見えてくる事に気づきます。

その瞬間から、両方の人物が見えてきます。この認識が出来るようになることを「ゲシュタルト」が出来ると呼びます。

この現象を、心理学の世界ではゲシュタルト現象とかゲシュタルト心理学と言われています。
 ゲシュタルト心理学では、個々の独立したパーツが寄り集まってくると、ある時点を境にして、それがひとまとまりのものという認識を脳がする働きの事を表しています。そしてその認識を脳がどのようにするかについては、人によって変わる事がある。

 ゲシュタルトと語学にどういう関連があるかについてですが、1つのアルファベットや漢字と言った文字だけでは語源はあっても実質的な理解できる意味は持てないが、それが集まってきて単語となり文となり段落となり文章となり、更に一定の状況においてその文章が述べられたならば、ある意味を持った文であると認識できる様になると言う事です。

 苫米地博士監修の教材では、語学習で最も重要としている事の1つは、習得しようとしている言語に於けるこのゲシュタルトを作る事です。

 漠然として分かりにくいかも知れませんが、私もゲシュタルトが出来たと感じる瞬間が英語の学習を通じて有りました。
苫米地博士監修の教材に従って、英語のテキストとしてアメリカホームドラマの「UGLY BETTY」のシリーズを入手し、ひたすら映像を見て聞いてと言う行為を繰り返し行っています。(実際には見方聞き方というのも有りますが)

 番組の中で最初はある部分が聞き取れなくて、ストーリーの全体が今ひとつ理解できないと言う事がありました。
実は聞き取れていなかった部分は、ある瞬間を境にして、間違った聞き方と解釈をしていた事に気づきました。
 実際には BIANCHI という単語ですが、最初、私が聞き取っていたのは be yankee の2語であると耳で解釈していたのです。BE動詞に何かyankeeなる単語が着いている。これが、物語の全体の中で繋がらなくストーリーが、見えてこない。
 後で気がついたのは別のシーンで VINCENT BIANCHI と発音している事です。そう、これは固有名詞である個人の名前だったのです。名前を言っている事に気づかず、BE+名詞 等と勝手な判断を脳がしていたわけです。

 だまし絵と同様の解説をすると
 Vincent be Yankee だと「VincentさんはYankeeだ」のような解釈になります。
 Vincent Bianchi  だと「Vicent Bianchiと言う人」という解釈になります。
 どちらも発音的には、ほぼ同じなので英語は、前後の単語を繋げてまとめて発音する傾向があるので、脳が勝手に間違った聞き方をしていたわけです。

 この誤解が分かった瞬間に、自分の脳裏に電撃が走った気分でした。あらためてその回を最初から鑑賞してみると不思議な事にストーリーの全体が理解でき、つじつまの合わない部分がパッと無くなりました。


2.クリティカルエイジとは
 第二回で語学習得をする脳の働きについて、年齢的な話に触れましたが、何故子供は簡単に言語習得をするのに大人は相当苦労しないと習得できないのかと言う疑問については、このクリティカルエイジと言う言葉の意味で解釈する事が出来ます。

 苫米地博士によると、「クリティカルエイジ」を日本語で言うと「脳の学習限界年齢」と説明しています。それで、言語では母国語としての学習機能は13歳頃に停止するのだそうです。従って、この期間に言語を学ぶと母国語として話せる様になる。そしてそれ以降は母国語としての学習機能は失ってしまう。

 但し、そう言ってしまうと何も出来なくなってしまいます。そこで、もう一歩踏み込んで、苫米地博士は、その克服法についても述べています。
 詳しい事は、上記で紹介した著書の一覧から語学学習系の本を読んで貰えばどれにも書かれていると思いますが、
まず、クリティカルエイジの問題は人類の進化の過程で脳が必要以上の負荷がかからない様に保護する目的で出来上がったもので、脳機能科学で言えば、言語空間に於ける言語情報をためているエリアが学習を始めた時を起点にして13歳頃であるが、それは実は同じ言語空間での話で、違う言語空間を作れば、その部分は新たに利用する事が出来ると言う事です。

と言っても分かりにくいと思いますから、映画マトリックスを例にすると、キアヌリーブスの後ろ首に着いているジョイントにコネクターを挿入して、ある空間イメージをロードすると、彼の頭の中の虚空間イメージの中に自分自身が入り込んだ様に見えます。そしてその空間イメージは13歳頃までに作られた日本語空間だったとします。
 この空間イメージはクリティカルエイジの問題で変化する事が出来ません。しかし、そこに別の新しい虚空間イメージをリロードするわけです。これでマトリックス リローデット に続く事になり、真新しい空間へは新しく自由に作る事が出来る。

以上の説明でもモヤッとしている方もいるかと思いますが、別に構わないです。モヤッとしたまま次の項を見ましょう。


3.言語脳(言語空間)について
 最近は、ちまたでよく見かける「○○脳」と言う表現ですが、実はこれは「英語脳」という言葉が発端だそうですが、今使われている「英語脳」という言葉の意味は元祖の意味合いからは相当かけ離れているそうです。
 というのは、そもそも「英語脳」という言葉は専門学的には存在しない言葉で、苫米地博士が作った造語が一人歩きしてしまったと述べています。

 同博士によると、脳機能科学的に言う情報空間(脳の高次機能という)に於けるある1つの言語空間でそこに英語を母国語とする言語情報を埋め込んだものと言った解釈だそうです。
 一般に使われているのは、右脳とか左脳とかと同類の物理空間上の何処かの部位の様な扱いをされているのが目立つが、それは元々の造語の意味とは全く異なる使い方だと。

 そこで本来の意味で話す必要があるわけですが、従来の学習法とクリティカルエイジを克服する為に新しい言語空間を作る方法の違いは何なのか?

 実は、今の日本の学校教育のあり方に脳機能科学的見地からして全く効果のない学習カリキュラムになっている点を指摘しています。つまり今の教育は、既にクリティカルエイジの来てしまった日本語の言語空間をベースにその中に上済みする様に例えば英語の文法とか、単語とかを詰め込もうとしている。

 言語脳についてもう少し説明します。前頭前野や海馬等という物理空間に存在する物理的脳と虚空間である情報空間としての言語脳との間については、次の様に考えると分かりやすいです。
 コンピューターで言うCPUやメモリと言ったものは物理的に存在する物ですがこれは物理脳と同じイメージです。それに対して、Windos や WORD と言ったソフトウエアは物理的には点在していて、特定した部分で動いているわけではありません。しかし、コンピューターの情報空間においては、目的を持った機能を有したソフトウエアとして存在し、機能しているわけです。言語空間もこれと同じ様なイメージであると考えればよいです。

 
<物理脳と情報空間、言語脳との関係>

 上図は、脳の働き方の概念を模式化したものです。
左図は、現在の一般的な語学学習でなされている場合の脳の高次レベルでの働き方です。「日本語脳」と呼ぶ部分では8歳から13歳頃までに、その体系が出来上がり情報空間上の言語情報はクリティカルエイジによって殆ど固定されます。その後、この日本語脳を土台として英語脳を組み上げようとするわけですが、殆ど固定化された情報空間上では新たな語学学習時に大きな負荷となってしまう。
 一方右図は、苫米地博士が提唱する学習方法ですが、日本語脳と英語脳は情報空間上で切り分けて構築すると言うもので、情報空間上の使っていない部分を活用しましょうという考え方です。
 また、この時一から全て英語脳を日本語脳の構築と同じ様な方法で構築していたのでは、8~13年という長い期間をかけて構築する必要があり、これは効率的ではないので、固定してしまった日本語脳の情報空間の言語情報で同じように利用できるものはそのまま英語脳でも使い、英語特有の部分だけ新たに構築すれば、加速的に学習する事が出来るのだという事です。


4.ノーム・チョムスキーの仮説とは
 前項で説明した学習で加速させる為の要素として、言語学者のノーム・チョムスキーの仮説というものがあります。
内容は、「脳は生得的に文法能力は潜在的に持っていて、あとは言語ごとに経験によりパラメーター(設定)を調整するだけ」
と言う事です。簡単に言うと、「ユニバーサル文法」を処理する能力を生まれながらに持っていて経験により細かいパラメーターを設定する事で、英語や日本語と変わっていくと言う考え方です。

 これは、あくまでも仮説であるわけですから、完全に証明されたわけでは無いのですが、この仮説を持ってきて説明しないと説明できない事象は数多くあるそうです。苫米地博士によると、殆ど100%に近い確率でこの理論はあると考えていると述べています。また、ユニバーサル言語の守備範囲は文字通り宇宙語?をも包括すると考えられているようです。

 従って、この仮説が正しいと仮定すると、語学学習に於ける文法体系は、日本語脳とは別に、パラメーター(設定)の部分だけ、新しく調整し直せばそれで習得は完了すると言う事になります。

 文法の事を脳科学、脳機能科学の分野では「統語」と言いますが、これは語学学習を始める時に初めから全てを学ぶ必要は無いという考え方です。

 これは、私も分かる気がします。長距離の引っ越しを経験された事のある方なら、私と同様の経験をした事があるのではないかと思いますが、九州⇒広島⇒大阪・・・・とジプシーの様な生活を送っていると、色々な地方の方言に浸る事になります。引っ越して間もない時は、以前に住んでいた地方の方言で喋るわけですが、滞在期間が長くなると、ある日いつの間にか、新しい地方の方言(に近い)で喋っている自分がいる事に気づく瞬間があります。

 仮説を持ち出して、この現象を説明すると、例えば九州弁のパラメーターで話していたのが広島に長くいるとそれだけ経験を積み、新しいパラメータとして広島弁が情報空間に出来上がったと考える事が出来ます。

 つまり、これを応用すれば英語であろうと他の外国語であろうと話せる様になる。
補足すると、この新しいパラメーターが出来上がる事を「ゲシュタルトが出来る」と言い換える事も出来ます。


5.ネイティブの言語獲得法について
 そもそもネィテブスピーカーとはどういう人を指すのでしょう。
 苫米地博士の解説では、「文法ルールなどを暗記することなく、自然にある言語を習得した人たち」と述べています。

 この、「自然にある言語を習得」というのが、当たり前の様で意外と軽視しがちな点です。そもそも私達日本人はどうやって日本語を覚えたのでしょうか?
 それは、赤ちゃんがどうやって言葉を覚えるのかを考えればよい。

    「見る・聞く・感じる」⇒「話す」⇒「文字を覚える」

 と言う順番ではないでしょうか。で、最も大切なのが五感を使って状況を把握し、周りから入ってくる音声を認識して状況と音声との間の関係についての結びつけられた時、神経ネットワークの形成と共にゲシュタルトが出来上がり、意味理解が出来る。更に五感を使って、発声方法を学び声が出せる様になり話せる様になる。発音と文字の関係については、話し始める様になってから覚えます。

 要するに、上記の順番でゲシュタルトを作り脳の言語空間を新しく作れば自然に言語を習得できると言う事です。
だから、苫米地博士からは「ネィテブと同じ方法で習得する」ことを推奨しています。
 一般的には、外国語をネィテブ並にと考えがちですが、そうすると日本語脳の上に英語の知識をインプットする上記図の<物理脳と情報空間、言語脳との関係>における左図の状態を作りがちになる。右図の状態を造り出す為にネィテブの順番は拘る必要が有るという事です。

 以上を踏まえ、語学学習で絶対にやってはいけない勉強法についても、紹介します。
例として「英語」をあげますが、「英語」を「中国語」や「スペイン語」、「ドイツ語」「ロシア語」と好きなものに置き換えて結構です。
  1. 日本語の説明を聞きながらの勉強
  2. 英和辞典、和英辞典などを使った勉強
  3. 各単語の日本語の意味を暗記する勉強
  4. 英文の音を聴いて日本語の意味を覚える勉強
ネィテブは、英語なら英語を聞いてそのまま理解し、そのまま英語で話をします。そこに英語⇒日本語、日本語⇒英語と言った様な他の言語が介在する様な脳の動作は考えられません。従って、上記の様な手法は脳を無駄に消費するだけで使い物にならないと言う考え方です。

 尚、補足しますが、これらは自然言語の習得を前提とした場合の話です。
 当サイトでも、各言語の説明などを日本語を用いて行っていますが、まず方法論は、言語そのものを学ぶ行為ではないので別に何語で解説しても問題ありません。文法(統語)の部分についても、別の回で文法の必要性についての中で説明していますが、「文法は体得するもの」という考えです。日本語で解説してある部分はあくまでも日本人の初学者が理解できるレベルに落としたもので、日本人の体験談として解説している場面があるからです。


6.意味論について
 早速ですが、外国語を日本語に翻訳されたものを読んで、著者の意図がどの程度伝わっているのでしょうか?
また、洋画を見る場合に英語をそのまま聞くのと日本語字幕の内容は果たして同じでしょうか?
 私にも断言できますが、Noと考えます。

 会話で発する言葉や本が伝えている活字は、著者が生まれ育った環境や経験で言葉となって出てきます。また言語に関して言うと、その言語の成り立ちの時代的背景がある事にも注意する点があります。それをひとたび日本語に翻訳すると、日本語の文化的背景を負ってしまいますが、著者や発話者は日本人ではない為存在し得ない文化を背負って発話されたかの様になってしまいます。

 日本でも、東北を舞台としたドラマで東北育ちのキャラクターが例えば熊本弁で喋ってたりしたら、きっと滑稽に思えるでしょう。

 また、言葉が発せられた時の状況によっても、言葉に込められる意味は変わってきます。
例で言いますと、
    I miss you
と行った場合。これだけでは意味を確定する事は出来ません。
 状況として、相手が家族で、自分が遠くに来ていて電話している時に出た言葉なら、単に「寂しい」と言う事でホームシック状態と考えられます。
 また、相手が恋人で離れていて出会った時によく聞く言葉でもあります。この場合も「寂しい」という意味はありますが、どちらかというと「恋しい」というニュアンスが強いです。

 人の名前だけを呼んだ場合であっても、やはりその状況によって、何故呼ばれたか、心理的状態はどうなのかなどが違ってきます。
 小説などの場合は、映像が無く活字だけなので、先に状況設定する描写表見と心理状況を描写する表現をしてから会話の言葉が書かれています。

上記より、言葉の意味論としては苫米地博士からは次の様に解説されています。

  「文章そのものには、何処にも意味は存在しない。意味は状況の中でのみ存在する。文章の意味というのは、その発話された状況の中で存在する。」

 ここで言う「状況」とは語学習得の見地で言うと、その言語の文化的背景も含みます。更に発話した人の育ちや、今おかれている状態、そして発話した時点での場所、時間、等々様々な状況を全て含んでいます。

 映画の話をしましたが、英語を聞きながら字幕を眺めていると時々全く違う事を書いてあるときがあることに気づきます。何故そうなるかというと、日本人の観客の多くは、英語文化的背景を知らないからです。私の感覚としてはコメディ系はその傾向が強いと思います。
 ユーモアというものはその国の文化的背景を持っていますから、日本人には理解しがたいユーモアというものも有ります。それをそのまま翻訳したのでは、ユーモアを日本人が理解できず空振りでしらけてしまいます。
 コメディは笑いをとらなければ、視聴率が下がるわけですから、翻訳者は必死になって割とニュアンス的に近くて笑いの取れそうな文章を充てるわけです。

 映画館で洋画では観客が米国人と日本人で笑っているポイントがずれてたり違っていたりするのはそう言う事から来ます。


7.言語モードについて
 苫米地博士が解説していますが、日本語モード、英語モードと言う言葉が出てきます。造語になると思いますが、要するに脳の言語的機能が日本語なのか英語なのかと言う事です。これは会話だけでなく、思考すなはち頭の中で思い巡らせている時に日本語で考えているか英語で考えているかと言う事から出てきた言葉です。
 語学学習で大切な部分の一つとして、その言語を学ぶ時はその言語モードにどっぷりつかる必要があると述べています。

 経験的ではあるが、おおよそ1日の会話の中で日本語で生活した時間と英語で生活した時間を比較して、より長く生活した方の言語が、翌日起きた時にその言語のモードで目覚める傾向にあるそうです。但し例外的に例えば英語圏で非常に思い入れのある物を見た瞬間とかに日本語モードから英語モードに切り替わる時もあると。


8.学習法について
8-1.英語脳(言語脳)を作る為の最適な教材。
 意味は状況の中にのみあると言う事ですので、映像教材は必要不可欠だと言う事になります。五感がフル活動できる物程良いという事です。CD等の音声でもイメージを膨らませられるなら効果は期待できますが、映像がある方が望ましいです。以下があげられています。
  1. 海外ドラマ
  2. TVで2カ国語放送ドラマを英語で聴く
  3. 海外ドラマをネット購入などの方法でダウンロードする。
  4. 海外ドラマのDVDを字幕無しで見る
特に連続物のドラマが良く、アクション物は避ける事。理由はアクションばっかりで会話が少ない物は時間的に勿体ない。とにかく沢山喋っている物が良い。メロドラマ系、昼ドラ系は元々聴いているだけでもストーリーが追える作りになっているので、推奨する。

鑑賞方法に注意点があります。脳の新たな神経ネットワークを構成する訓練ですので、同じ刺激ばかりを繰り返し与えるよりも、沢山の信号を見せて行く方が固定化しやすいそうです。従って、連続ドラマを鑑賞する時は、1話から最終話までを見終えてから最初に戻る。同じ話を繰り返し見る事はしない事。

8-2.前準備
 学習するのに最適な脳の状態は、リラックス状態です。医学的に言うと副交感神経優位の状態を作る事です。
一般的に、何をするにしても同様だそうですが、
   学習時:副交感神経有意の状態(リラックス)
   実践時:交感神経有意の状態(緊張)

リラックス方法については、苫米地博士からは特に呼吸法の名称を述べていませんでしたが、あまり呼吸法に拘ってしまうと返って緊張するので、基本最低限の事のみ述べています。
   「息を吐きながら体をゆるめる」
これだけです。とにかく全身の筋肉の緊張が無くなる位までこの呼吸を繰り返す。
余裕があれば「逆腹式呼吸」を5分~10分すると良い。

8-3.学習手順
 以下に列記します。教材として用意した海外ドラマを使っての内容になります。
  1. アルファベットの音韻を感じ取る(母音や子音を聞く事に意識する)
  2. 音韻の繋がりを感じ取る(母音や子音の組み合わせでの音の変化に意識する)
  3. 1音先を予測しながら聴く
  4. a.~c.を繰り返し単語レベルで音を拾える様になったら1つだけ単語を拾う
  5. 単語をイメージする(日本語をイメージしない事。物や動作等の映像をイメージする事。)
  6. 単語を五感で感じる(聴覚、視覚、味覚、触覚、嗅覚を自分の体験で推測して感じても良い)
  7. 抽象度を上げる(五感で感じた事をイメージしながら元の単語の固定イメージが消える位イメージを抽象化)
  8. 単語のイメージを広げよう(抽象化したイメージから派生するイメージを思い浮かべる)
  9. 次を予想する(拾い出した単語の次に来る単語を予想する)
 手順の中で「次を予想する」というのが出てきますが、これは苫米地博士によって解説されている記憶法の中でその仕組みを述べています。脳は予想した事と違う事が起こるとその事を覚える様に出来ている。予測した事と同じ事が起これば既に記憶していると判断して記憶はしない。と言う事だそうです。
 つまり、予想は間違えていても一向に構わない。

9.学習をやってみて
 以上の内容を、私自身実践していますが、まだ途中段階です。しかし、既に効果を感じているのでその感想などを述べたいと思います。
 まず、私が使っている教材は既に述べていますが、アメリカホームドラマの「UGLY BETTY」のシリーズでネットダウンロードでの入手です。
 英語は語学学校などを通じてあるレベルはありましたが、それでも現実的にはまたドラマを楽しめると言うレベルには達さず停滞気味でしたので、今回のこの方法を試してみる事にしました。
仕事中に英語モードを造り出すのは難しい為、それ以外の時間帯で極力英語を聴いている状態を作り、大体深夜2時頃まで英語モードです。英語/日本語は10/8時間が平均を維持です。

 やはり、音韻を聴くところから始めてますが、続けていくと、同じ単語?だと思える部分が出てくる度に違う音に聞こえてきます。特に全く聴いた事の無かった単語は特にその傾向が強いです。そのうちに一定の音に聞こえ始めてある程度時間が経つと、ある時急にその単語にイメージがわいてくる瞬間があります。そうすると一気にストーリーの理解度が進むわけです。

 学習のレベルはなめらかな坂道を登っていく感じではなく、どちらかというと、階段状だと思います。一定の時間は、全く先に進めない状態でストーリーが流れていき、何処かのタイミングで急に意味理解が突然階段を1つ登ったかの様に進むわけです。

シリーズの最後の方では、もうストーリーにのめり込んでしまい、正直学習手順のステップなど忘れていました(笑)。
最終回の後1話から見直していますが、2回目は1回目の理解度より高くなっていて、新鮮に見えます。そこで新たにやはりよく分からない部分というのが出てくるわけですが、これも話が進むにつれてステップアップします。

恐らくこれを、繰り返し何度もやっていくと完全理解が出来る物と期待しています。
尚、この教材の他に、合間でCATVのAXNやFOX等のドラマを見ており、ここでも「UGLY BETTY」で急に分かる様になった単語などが出てくると脳がピンと反応する感じで、手応えを感じます。

今後ですが、一定の目処が立ったら、別の言語でもこの方法を試してみようと思います。


(2011/06/04記)