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Home>>語学学習>>Chinese 汉语(中国語)>>特別編>>第一回:日本語と中国語のイメージのずれ
<中国語コラム(特別編)>の部屋へようこそ

<第一回:日本語と中国語のイメージのズレ>
ここでは、私が中文を作成するに当たり遭遇した各国間のイメージのずれから来る問題点、若しくは、情報を寄せられた方の体験を踏まえ、中国語の単語を使用する上での注意点を整理していきたいと思います。
この節は、新たな、情報が入る毎に更新をしていきます。

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<督促と催促> <印鑑について> <收受と接受> <还是と或者> <3割引の表現> <和と跟> <女士か小姐か> <明白と知道、懂> <情報と状況> <送と寄>

<督促と催促>

既に、文法編第二回で説明していますが、おさらいします。


(日本語での意味)
日本の国語辞典で引くと
 督促:促すこと、せき立てること、催促。
 催促:早くするように促すこと、せっつくこと。
要するに、同じ意味です。


(日本人が辞書を使って翻訳しようとした場合)
中日辞典で引くと

 督促:督促する。実行するように促す。(立場の下の者に)励行させる。
 催促:催促する。

中日辞典では全く意味をなしていません。日本語と同じと解釈されます。


(中国人のイメージを中中辞典で確認)
新華辞典では1漢字毎で引く事になりますのでまずは、漢字の意味として、どうなるか。

 督:监督,监管(訳:監督する事、監視、管理する事)
 促:催,推动(訳:せき立てる、促す、促進、推進する事)
 催:催促,使赶快行动(訳:催促する、行動を急がせる)

 つまり、これを組み立てると、

 督促:監督、管理をすることで行動を急がしてやらせる。
 催促:せき立てて早くするように促すこと。

となる。

念のために、実際に中国人に聴いたイメージでは

 督促:監督して確実に実行させ、それを確認する。
 催促:早くするように促すこと、せっつくこと。

と言う事だそうです。日本語の辞書で、この違いを知ることは出来ません。

「日本の会社で良くある場面としては、カスタマーから督促が来ている」というのがあります。
これを、直訳して

「客户督促敝公司」

などと書こうものなら、「顧客は弊社を監視して実行する様にしている」的な解釈になる為、大変な事になってしまします。
これは、顧客が乗り込んで出来るまで帰らない位の勢いですね。


<印鑑について>

 日本で印鑑と言えば、大体は個人の印鑑の意味で使われます。会社の印鑑だと社印と言います。

印鑑を日中辞典で引くと”图章”と書いてあります。
この訳に間違いは無いのですが、中国では個人の印鑑と会社の印鑑は別の言い方があります。

 私章:個人の印鑑の意味
 公章:会社の印鑑の意味

(日本でも、個人印、社印と言う様に分けた使い方は出来ますが、状況的に考えて、社印と明示しない限りは個人印を指しますね)

 会社の公文書を発行して貰う際に、よく印鑑を求めることがありますが 中国人の場合は、盖图章と求めてもこれを求められた側は、どの印鑑を押す必用があるのか判らないので悩むそうです。

そこで、中国に対して印鑑を求めるときは明確に伝える必用が有ります。

 盖私章 盖公章と書くのが正解だそうです。

中日辞典では、社印で引くと、公章は出てきますが、個人印で引いても私章は出てきません。
印鑑で引くと、私章と公章を総称して图章と出てきますが、私章と公章の分類される説明は有りません。

従って、翻訳の際にこの違いを知る手だてが有りません。
私の場合は、公文書の中国語訳をした際に中国人に添削をして貰って始めて知りました。


<收受と接受>

 私が、翻訳の中で、「文書の受け取り」の意で使用したときの間違えです。
というか、辞書引きの確認不足だったと思います。

しかし、非常にニュアンス的なものが含まれているので、この違いについても取り上げたいと思います。

これは、中日辞典の中で詳しく書かれていました。

 接:物、手紙、好意、条件、意見、提案などを受け取る。
 收:物、贈り物、手紙、元々自分の物を受け取る。
 受:受ける、受け取る、もらう

2つの動詞が組み合わさった熟語です。

但し、この2つの単語の違いについて、中国人の解説では、

 接受:物、手紙、好意、条件、意見、提案などを受け取る。
 收受:贈呈品、金銭、ワイロを受け取る。

といった感じで、收受はブラックなイメージが強い言葉だそうです。
従って、普通に何かを受け取る場合は、接受が正解だそうです。
收受を使うのは良くないと言ってました。(お金を受け取るのに「收受」を使うと、「袖の下」と誤解されるのでしょう)


<还是と或者>

これは、私の単純ミスかもしれません。
何れも副詞の意味と接続詞の意味がありますが、ここでの比較は接続詞としての比較になります。

中日辞典では

 还是:(=或者)それとも。
 或者:あるいは、または

ん~。また、同じ意味か?

 中国人の添削の際は、还是と書いてあったところを或者に書き直されました。

 日本語で「個人印を押すかサインをする」を最初「接受私章还是签字」と書いてあったのだが、「接受私章或者签字」が正解だそうです。

 残念ながら私には見分けが付きません。
 但し、中国語というのは文法編第一回でも述べた様に、漢字1字に凝縮した意味が強いので、そう言う観点から見直すと理解の突破口が出てきます。

 ここでは「还」の意味です。
 辞書で引くと、アスペクト表現(動作の継続、維持など)としての意味の他は、否定か相反する意味合いを持っていることが判ります。

 「还是」は日本語では「それとも」と訳してしまいますが、本来は、「そうではなくて」のイメージで訳した方が良いのだと思います。

 それに対して「或者」では日本語で「あるいは」と訳していますが、注釈で「同格を表す」と書いてあります。要するに、例文の「個人印を押す」ことと「サインをする」ことは相反ではなく同格なので「或者」に訂正されたのだと考えられます。


<3割引の表現>

 日本のお店で良くやっているセールで「3割引」とよく書いてあるのを見かけますが、中国では、割引に関するイメージが日本とは異なっており、誤解を招きやすいです。

 どういう事かというと、中国人が初めて日本に来て1000円の服に「3割引」のプライスが貼ってあるのを見て、びっくりするそうです。何故なら、その服が300円で売られていると勘違いするのだそうです。

 中国語で値引きをする時に使う漢字は「打~~折」です。
「折」には値引きをする、割り引く、まける等の意味があるのですが、この「折」の前に数詞が来た場合、つまり

 打3折

と書くと、日本人的に考えると「3割まける」と訳しそうです。

しかし、実際には「(その数詞の割合)にまける、する」と訳すのが正解となります。
従って、

 日本語:「3割引」

に対し

 中国語:「打7折」

と表現するのが、正解となります。

この場合、中国語の表現だと、「7割の値段に割り引く」と訳します。

 最初の中国人の話では、「打3折」と誤解したわけです。

 日本人も、逆の誤解をしますので気をつけましょう。
 決して、中国で「可以打三折」なんて言わない様に。言ってしまうと「ふざけるな!」と言われるかも知れないです。

<和と跟>

これは、日本語と中国語の違いと言うより、中国語の漢字に込めたれた意味の微妙な違いになると思います。
例:
  1. 我和他一起玩儿。
  2. 我跟他一起玩儿。
この二つの文章をどう訳しますか?
そうですね、日本語にするとどちらも「私は彼と一緒に遊ぶ」となります。

では、次はどうでしょう。
  3. 我跟光盆的音声读。
  4. 我和光盆的音声读。
この違いが分かるでしょうか?
どちらも「CDの音声と一緒に読む」と訳しそうです。

実は、1~4までそれぞれ、「和」と「跟」に内在するイメージが違うので、表面上に現れる日本語訳と根底の意味にズレが生じています。

では、例のごとく辞書で調べていましょう。まず、国語辞典と言いたいところですが、国語辞典に出てこないので漢和辞典を使います。

【和】(名)やわらぐ、まとまった状態。(形動名)解け合った様子。(動名)やわらぐ、なごむ。(形)なごやか、ゆったりとした。(動)声や調子をあわせる。「唱和」。(動名)プラスする、加えた結果。。。。。まだまだたくさんあります。

【跟】(動)(形)したがう。人のあとについていく。人のあとにくっついていくさま。「跟従(コンジュウ)」

中日辞典だと次の通り。
【和】hé
 穏やかである、和やかである。仲がよい、むつまじい、協調する。和解、仲直り。(数学)和。~ごと、~したまま。日本の。
【跟】gēn
 かかと。あとについて行く。~について(学ぶ)、~を利用して(学ぶ)。~といっしょに。~に対して。~と(関係がある/ない)。~と(比較して)。(接)~と。

ついでに中中辞典で見ましょう。(たくさんあるので、はしおります。細かいのが知りたい方はご自分でお調べください)
【和】hé
 相安。平静。数学上指两个或两个以上的加起来的总数。连带。连词,跟,同。介词,对,向。

【跟】gēn
 脚。随在后面。连词,和,同。介词,对,向

今回は国語辞典に載っていませんので、漢和辞典を使った事から、の日本語と中国語のイメージのズレは、少ない様に見えますが、実際には日本語としては会話では「和」しか用いる事が出来ない点で、注意する必要があります。

「和」と「跟」の意味は、日本語でも中国語でも、同じ位接近している、若しくは使われ方によっては同等の扱いがなされている事が分かります。

但し、注意が必要なのはその根底のイメージだと私は思います。
それぞれの辞典で、その根底について共通的に解説している部分がありますが、以下の部分です。

【和】解け合った様子。
【跟】したがう。人のあとについていく。(様子)

要するに、それぞれの漢字は、上記の意味合い(イメージ)を含んだ上で使われていると言う事になります。
最初の例文について、そのイメージを持って解釈すると次の様になります。
  1. 我和他一起玩儿。    (私は彼と一緒になって遊ぶ。)
  2. 我跟他一起玩儿。    (私は彼に付き添って遊ぶ。)
  3. 我跟光盆的音声读。  (私はCDの音声の後について読む=プロソディシャドーイングする。)
  4. 我和光盆的音声读。  (私はCDの音声と同時に読む=パラレルリーディングする。)

「和」が混ざり合うイメージを持っているのに対して、「跟」は主従関係が発生している事が、ポイントだと思います。


<女士か小姐か>

英語ではよく話題になる話だと思います。女性についてどう敬語を使うのが良いか、悩むところです。
「ミス(Ms.)」なのか「ミセス(Mrs.)」なのか、又は間をとって「ミズ(Ms.)」と言うべきか。。。。

中国語では、「既婚」「未婚」の区別はないが、「女士」と「小姐」という2つの言い方が有るので、どちらを使うのがよいのか、少し迷う時があります。

今回も、まず日中辞典で引いてみます。
【女士】nǚshì
 女性に対する一般的な敬称、女史。英語のMissやMrs等に相当し、手紙の宛名の敬称によく使う。特に外国人に対して用いる事が多い。

【小姐】xiǎojie
 (旧)お嬢様。以前は他人の娘に対する尊称、現在では主に未婚の女性に対する敬称。(若い女性に対して)おねぇさん。

例によって中中辞典でも、と言いたいところだが、歴史的背景を伴うようです。
「士」には、古代では未婚の男性、女性に対して指し示すものとして使われる。現在は男女を問わず、「美称(びしょう)」つまり、飾ったりほめたりする呼び方として使われる様になった。

「小」には、もともと女性の場合、姓の前に「小」をつける事で、目下の女性を指す事が多く「~さん、~ちゃん」的な表現をします。そこに「姐」つまり姉または若い女性への呼称が着くわけだから、上記の中日辞典の意味合いが出てきます。

つまり、「女士」はあまり親しくない間柄での敬称として既婚未婚問わず使う事が出来る。
「小姐」は特に未婚の若い女性に対して使う事が多い。

と言う事になるわけですが、本当のところはどうなのかを、中国語の先生に聞いてみました。
まず、「小姐」ですが、これは本来、裕福層のお嬢様に対して使われていた敬称だそうです。現在は一般化して、庶民でも使う様になった。

一番使うのは、飲食店のウェイトレスを呼ぶシーンとかです。しかし、最近はもっと敬称の意味合いが低落して水商売の女性を指す事が増えてきた。

しかし、使う場所を誤らなければ、今でも普通に「小姐」を使って問題ないそうです。

そういえば、私が仕事中に入ってくるメールで中国の女性が別の会社の女性にリクエストメールを出しているCCメールが入る事がありますが、出した彼女は「小姐」を使っていますし、同じ職場の中国人男性も「小姐」を使っていました。

「女士」はメールではあまり見ないですが、私は使っています。これは、私が日本人だから使えるのかな?とか思っていますが、中国人同士は、大体敬称無しで呼び捨ての場合が殆どだと思います。

因みに私に来るメールは、男性からも女性からも「先生」です。


<明白と知道、懂>

おそらく、表題の単語は中国語を使う上で頻出する部類の単語でしょう。
特に、間違えて失敗すると言うたぐいの場面は無く、多少日本人的感覚で使ってしまったとしても、ネィテブの中国人からすると、多少違和感は出るものの、内容は理解できるという事ですが、やはりこの相手の「違和感」は学習者からすると取り除きたい部分だと思います。

私自身、特に仕事上の中国語メールを各場面で「明白」と「知道」のどちらを使うべきか悩む場面が有りまして、とりあえず両方の単語を別々の文章で使いつつ出しました。結果は全く問題なく相手に伝わった感じで、私の欲しい情報を載せて返信メール(中国語)が来ました。

但し、やはり使い方の面で気になってしまったので、後日在日中国人と会った時に、私の文章を添削して貰いました。
以下は、その文章の抜粋です。

========
ABC.pdf 的内容是○○公司规定的一部分。
我们已经明白别的公司的零件里使用这些物质。
我们希望知道的内容是对贵公司的零件里使用的油墨有没有这些物质。
========

仕事上のメールの抜粋ですので、少し単語の解説をしておきます。
零件:生産品に使う部品の事を指す総称。「部品」
油墨:インクの総称。「インク」
物质:物質(意味は同じです)。ここでは化学物質を指す。

文章の背景は、会社の規定に従い使用を制限されている化学成分を、他の同類の部品メーカが使っていた為、同じ内容の部位(部品)に使用していないかの確認をする為の文章の抜粋です。

ここで、「明白」と「知道」の両方の単語を使っています。
在日中国人の説明では、このままでも問題はないが、強いて言うならば。

我们已经明白别的公司的零件里使用这些物质。
                ↓
我们已经知道别的公司的零件里使用这些物质。

とする方が、しっくり来る。。。


では、例のごとく辞書で調べてみましょう。

(日本語での意味)
日本の国語辞典で引くと
 明白:明らかで疑う余地がないこと。
 知道:日本語にはない言葉ですが、知+道と分けてこじつけると、「道を知る」⇒「理解する」

(中日辞典より)
 明白:明白である。はっきりしている。わかる。はっきり知る。
 知道:(事実を)知っている、(~が)わかる。
 懂:わかる、理解する。知っている。

 [比較] いずれも相手の言った事が「わかった」ときに用いられるが、
  「明白了」は抱いていた疑問が解けた時。
  「懂了」は理解できた時。
  「知道了」は今まで知らなかった新しい知識が増えた時。
 と言う条件下で用いる。

(中中辞典より)
 明白:
     【明】míng
        明白、清楚:说~.表~.黑白分~.
     【白】bai
        陈述、说明:自~.表~.道~.
  少し、分かりにくいかも知れません。新华字典では1文字ずつ調べる事になりますが、
  この場合「明」には既に「明白」の意味を含んでいる。
  そこで同系列の「清楚」について「混乱が無くはっきりしている⇒明らかである」と言った意味が導かれる。
  「白」は日本語の場合、色の意味が強いですが「潔白」等というような使い方をしますので、「明らかにする」
  と言う意味合いから陳述や説明の意味を持っている事が分かります。
  「明白」とは、陳述や説明によって招いていた混乱が無くなり明らかになると言う意味にたどり着きます。

 知道:
     【知】zhī
        知道、晓得、明了
     【道】dao
        道理、正当的事理、方法、办法。。。
  ここでも「明白」の場合と同じく「知」自身に「知道」の意味が含まれている事が分かります。
  そこで同系列の「明了」について「明らかな状態になる⇒分かる」という意味が導かれる。
  「道」は道理の道であり、ここでは筋道と考えると分かりやすいと思います。
  「知道」は筋道だって理解している、分かっていると言う意味にたどり着きます。

 懂:
     【懂】dǒng
        了解、明白
  もともと、「明白」の意味を含んでいるようですが、「了解」の意味を同時に含んでいる事が分かります。
  このことから、はっきりと理解していると言う意味にたどり着きます。

今回は、中中辞典から導き出す意味と中日辞典の意味に大差はないと言えるでしょう。
また、やはり各単語の意味は非常に接近していて、殆ど同じ意味で使われる事が分かります。
後は微妙なニュアンスをどう処理するかという事になると思います。

中日辞典の[比較]で述べている事が分かりやすいと思います。

さて、冒頭の文章校正の話に戻りますが、

   「我们已经明白别的公司的零件里使用这些物质。」

この文章は、「抱いていた問題が解けた状態」を表しているわけではなく、
「他社の同じ部品でこれらの物質を使用している事」という事実が新たに解った。
すなはち、新しい知識として加わったわけだから、

   「我们已经知道别的公司的零件里使用这些物质。」

とした方が、意味的に収まりが着くと言う事です。
「明白」でも意味は通じるが、「知道」の方が解りやすいと言う事です。



<情報と状況状況>

 日本人は「情報」という言葉を英語の"information"と同じ扱いで使っています。しかし、中国では少し事情が違うようです。今回はその事につて、少し触れてみたいと思います。

事の始まりは、中国語を教えて貰っている現地の中国人からのメールでした。「東北地方太平洋沖地震(2011/03/11)」が起こって数日してからの事でした。内容は、日本の状況が分からないので教えて欲しいというものです。これは生徒の何人か連絡の付かない人が出たからのようです。
 そこで、いくつかの震災情報公開サイトを提示し、私から言える説明もつけて、返信しました。2回程メールを送っていますが、やはり中国語がまだまだな私にとっては、訂正すべき点が多い様で、その時ついでに文章の添削もして貰いました。その内容については、沢山伝えるべき事がありますが、多いので別テーマで扱いたいと思います。
 その添削の中でも、私の心に強く印象づけられたのがこの「情報」と言う言葉の扱い方に日本人と中国人には温度差が大きい事です。

例によって、添削前後の文章を比較しましょう。

(誤) 在日本的地震情报是:  (http:// ~)
(正) 下面的这个网址里有关于日本地震情况的介绍:  (http:// ~)

他にも、色々訂正してある箇所はありますが、今回はこれらの中で、「地震情报」、「地震情况」に着目して話を進めます。

今回、何故この部分の訂正が必要になったのか、聞いてみました。
すると、次の様な説明が返ってきました。
========================================
情报(qing2bao4):一般是关于军事方面
军事(jun1shi4) : 战争时期 别的国家的军事秘密=情报
情报~间谍(jian4die2) = スパイ
间谍的任务:获取情报 间谍的生活,离我很远
========================================

この説明の意味する事は、中国では一般的に「情報」とは特に軍事用語として使われる言葉で、国家などの機密情報の事を指すそうです。「情报」と対になる言葉として「间谍」というものがありこれは「スパイ(諜報)」と言う意味で「间谍的任务(諜報任務)」と言うと諜報活動表し一般市民とは遠縁である。と言う説明です。

そこで、辞書で確認してみました。今回は中日辞典を使いました。
    【情报】qíngbào
      1.(機密性を帯びた)情報
      2.(広義の)情報;知識、資料

たしかに、機密情報の意味が1位にあります。しかし、2位の意味もあると言う事で、中中字典を手にしてみました。
【情】の説明として、4番目に状況を表す意味として説明がありますが、その中に熟語として2つの言葉が紹介されています。

  [情报]关于各种情况的报告(多带机密性质)
    (意味)それぞれの(機密性の高い)状況に関する報告。
  [情况]事请在进行中的状况
    (意味)事の状況が進行している中での状況。

ここから、考えるに、中日辞典の2位の意味はあるかも知れないが忘れた方が良いと言う事。
一般中国人が「情報」という言葉を単純に聞くと、何か恐ろしいものの様に聞こえるらしいですが、日本人に中国語を教えていると殆どの生徒が私と同じように「情報」を誤用しているとか。
 日本の漢字の意味と中国語の意味が同じだろうという錯覚を起こす日本人の多い事がこのことからも分かる。


<送と寄>
久しぶりの記述ですが、ある中国語講師との会話で気づいたイメージのズレがありましたので、述べたいと思います。
今回は、「送」と「寄」の使い方についてです。
今まであまり考えずに使っていて、日本語の意味と同じと勘違いしていました。同じ漢字でありながら漢字の根本のイメージが全く逆転してしまう現象となったのでそのことを説明したいと思います。

まず、日本語のイメージからですが、「送」は、「送る」という動詞に当たり、ものを送ったりする場合に使います。
また、「寄」は「寄付する」といった様な使い方で、ものを渡す場合、特に手渡しする場合によく使われます。

中国語ではどうでしょう。
新华辞典によると次の様になります。(ものを移動させることに限定して説明を抜粋します。)
【送】(1)把东西从甲地运到乙地
   (2)赠给

【寄】(1)托付,寄托
   (2)托人传送。特指甲邮局传递

これらの意味するところは、【送】は、ものをA地点からB地点に移動させる場合に使うわけですが、2番目の意味としてものを寄贈する場合にもこの【送】を使うという点です。
更に、【寄】の意味は、何かに頼る意味合いがあり、2番目の意味で他の者に頼ってものを送り届けるという意味になり、主に郵便などで送る場合に使う。

意味的に、重複する部分はあるものの間違えやすい部分は、手渡しで贈り物をする場合は【送】を使う点で、更に手紙や封筒などを、手渡し以外の手段を用いて送る場合は【寄】を使うという点である。

これは、社内メール等を使って書類を転送する場合にも【寄】を使い、その書類を直接その部署に持って行く場合は【送】を使うと言うことらしい。日本語の「送る」には直接持って行くという意味がないので、違和感を感じるところだが、イメージを誤らせるポイントであるといえよう。

 中国語を学習する中で、多くの漢字が日本語の漢字と共通する部分がある中、微妙に異なるイメージをありきたりの漢字の中に持っているよい例だと思いますが、こういったことは往々にして大きな誤解を招くおそれがあるので注意したい。学習で油断しているとつい同じ意味と勘違いして使ってしまうと、相手には全く違った意味に解釈してしまうことになります。

今回の例では、例えば日本人感覚で「書類を(メールで)送ります」という意味合いで【送】をご使用してしまうと、相手の中国人は、その人がやってくるのをいつまでも待っているがその人が来ないという状態で、後にその中国人のメールボックスに書類が届いていたことが数時間も経って発見されるといったことは、重要書類であればトラブルになる可能性もあります。

いつも使っている漢字であっても、油断できないわけで、よく使う漢字は一度確認しておくのも良いかもしれない。




(2010/04/29記)
誤字訂正、説明不足分の追加(2010/04/29追)
3割引の表現のイメージの違いについて追加(2010/05/09追)
誤字訂正(2010/05/16改)
文書整形と解説内容の具体化(2010/05/22改)
「和」「跟」のイメージの違いを追加(2010/06/12追)
「女士」と「小姐」についての解説を追加(2010/06/28追)
「明白」と「知道」、「懂」についての解説を追加(2010/10/23追)
「情報」と「情況」についての解説を追加(2011/04/02追)
「送」と「寄」についての解説を追加(2012/03/17追)